「雇用調整助成金」手続きの大幅な簡素化が発表されました!

5月19日、厚生労働省より「雇用調整助成金」に関する手続きの大幅な簡素化などについての報道発表がありました。

1.小規模事業主(概ね従業員20人以下)の申請手続の簡略化

雇用調整助成金の助成額は、会社としての「平均賃金額」を出して、それを基に計算されます。

ただし、小規模の事業主(概ね従業員20人以下)は「実際に支払った休業手当額」から助成額を算定(※)できるようになりました。

※ 助成額 =「実際に払った休業手当額」×「助成率」

また、申請用の書類も簡単になり、申請用マニュアルも作成されています。

厚生労働省|雇用調整助成金支給申請マニュアル~休業編~

厚生労働省|雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウィルス感染症対策特例措置用)

2.雇用調整助成金のオンライン申請開始 (※稼働が延期になりました)

5月20日12時00分より、オンライン申請の受付が開始されます。

(※システムの不具合により、延期になっています。)

メールアドレスとショートメールが受け取れる携帯電話を準備して、まずはアカウント登録を行います。

厚生労働省|雇用調整助成金等オンライン受付システム ※スタート未定

厚生労働省|リーフレット

3.休業等計画届の提出が不要に

雇用調整助成金は、判定基礎期間(=給与計算期間)ごとに計画届、申請を行う必要がありますが、特例により1回目を含む休業等計画届を提出する必要がなくなりました。

※1つの判定基礎期間、又は2つないしは3つの連続した判定基礎期間を「支給対象期間」といいます。多くの会社では1つの判定基礎期間ごとに支給申請を行っています。

つまり、支給対象期間ごとに、支給申請をするだけで良くなりました。

そして、計画届と一緒に出していた書類は、申請の時に提出します。

厚生労働省|小規模事業主の申請様式対照表

4.助成額の算定方法の簡略化(小規模事業主以外も含む)

小規模事業主以外の事業主についても、支給申請の際に用いる「平均賃金額」や「所定労働日数」の算定方法を簡単にすることができるようになりました。

(1) 「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて、1人当たりの平均賃金額を算定できる。

(2) 「所定労働日数」の算定方法を簡素化。詳しくは、雇用調整助成金の支給要領を参照。
● 休業等実施前の任意の1か月を基に「年間所定労働日数」を算定
● 「所定労働日数」の計算方法の簡略化

5.申請期限

雇用調整助成金の申請期限は、支給対象期間の末日の翌日から2か月以内です。(5月1日~5月30日の休業分は、7月31日まで)

新型コロナウイルスの影響を受けて休業を行った場合、特例として、支給対象期間の初日が令和2年1月24日から5月31日までの休業の申請期限が、令和2年8月31日までとされました。

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4月からずっと雇用調整助成金の制度変更を追いかけてきましたが、多くの変更・改定を重ねて、ここまでたどり着いた感があります。

「働く人」と「雇う人」が救われる助成金であってほしいので、申請が簡単になることは喜ばしいことです。

ただ、基本は変わっておらず、「事業を縮小しなければならなくなった経営者」が「従業員を雇い続けるため」に「休業させた時に支払った休業手当」を補填することを目的としている点です。

今後も、さらなる変更がある可能性がありますので、厚生労働省のホームページにて最新情報をご確認下さい。

 

高原祥子(高原社会保険労務士事務所